1. 新しいマーケティング概念が広がっている
これまでは、実店舗のユーザーをオンラインへ誘導したり、オンラインのユーザーを実店舗へ誘導する戦略が主流でしたが、近年、インターネットの普及やデジタル技術の進化、消費者ニーズの多様化により、企業のマーケティング戦略が変化しています。すでにマーケティング概念を変え、取り組みを始めている企業はたくさんあります。今回は、マーケティング概念であった「O2O」とこれからの新しいマーケティング概念「OMO」の違いと、「OMO」の成功事例をご紹介します。
2. 「O2O」と「OMO」の違い
(1)「O2O」とは?
O2Oとは、「Online to Offline(オンライン トゥ オンライン)」の略称です。
ユーザーをオンラインからオフラインへ誘導し、
購買意欲を促すマーケティング手法の事を言います。
例えば、
チラシ配布をし、通販サイトへ集客を試みたり
SNSで割引クーポンを配信し、店舗で買い物をする時に利用できたり。
このように、オンライン上でユーザーにプロモーションを行う事で
実店舗へ「行きたい」「行ってみたい」と店舗来店を促します。
(2)「OMO」とは?
「Online Merges Offline(オンライン マージズ オフライン)」の略称です。
オンラインからオフラインへ誘導し購買意欲を促す「O2O」とは異なり、
オンラインとオフラインの境界を意識する事のないサービスを目指す
新しいマーケティング手法です。
オンラインとオフラインを分けて考えるのではなく
オンラインとオフラインを一体として捉えてビジネス展開をしようと言う考えです。
ですので、
「O2O」と「OMO」の違いを分かりやすく言うと、
一方からもう一方へ流入を促すのが「O2O」
双方を隔たりを持たず、より良い顧客体験を提供しようとするのが「OMO」
と言う事になります。
3. O2Oはもう古い?!時代はO2OからOMOへ
今までは “ オンラインからオフラインへ繋げる “ といった
「O2O」が流行し、実践・成功する会社が多くありました。
しかし、近年は消費者の価値観の変化があり、
オンラインとオフラインを分断するのではなく、
あくまでもユーザー体験を主軸として考え、双方の隔てを無くし融合する事で
ユーザーの行動をデータ化して集約、
そしてユーザーの体験を高めようとする「OMO」が主流になってきました。
では、どのような企業が「OMO」を実現しているのでしょうか。
4. OMOを実現した企業の成功事例
(1)Amazon GO(アメリカ)
Photo by https://dime.jp/genre/665574/
2021年を目処に全米に3,000店舗オープンすると発表した「Amazon GO」。
来店前に専用アプリをダウンロード・登録をし、
登録完了時に発行される「入場キー」を
店舗入り口にある改札にかざすだけで、お店に入る事ができます。
スーパーのように商品が陳列されており、
購入したい商品を手に取って、そのまま改札を通り外へ出るだけで
自動でお会計がされ、お店を出てから数分後には
来店前にダウンロードしたアプリへレシートが送付されます。
「Amazon GO」の店舗天井には、無数のカメラとセンサーが設置してあり
画像認識や音声認識を駆使して無人会計を実現しています。
(2)Luckin Coffee(中国)
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大手コーヒーチェーンで有名な「スターバックス」を超える
“ スマホがないと買えないコーヒー “ で有名になった「Luckin Coffee」。
2018年1月に北京に1号店を出店した「Luckin Coffee」は
わずか1年で中国22都市2,000店舗以上を展開し、
勢いは止まる事なく、大手コーヒーチェーン「スターバックス」の
中国内3,600店舗を超える、4,507店舗まで拡大しました。
「2杯買うと1杯無料」や「5杯買うと、さらに5杯無料」などの
ユーザーがお得感を感じられるキャンペーンを多数行っているだけでなく
スターバックスが1杯あたり450円〜660円に対し、
「Luckin Coffee」は、1杯あたり230円〜300円で販売されています。
アプリでオーダーから決済まで完結する事ができる「Luching Coffee」は、
今まではレジで注文し、コーヒーを淹れて受け取るまで時間がかかっていたが
事前に店舗受け取りor配達を選ぶ事ができるため
ユーザーは、楽に決済できてすぐに商品を受け取れ、
店舗は回転率アップ、業務効率化によりコスト削減ができ、
狭い店舗でも多くの利益を得られるようになります。
(3)盒馬鮮生(中国)
Photo by https://amp.review/2019/11/13/alibaba-3/
アリババが運営する「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」。
一般的なスーパーとは異なり、
・スーパー
・レストラン
・EC向け倉庫
・EC向け物流拠点
の4つの要素を融合した店舗です。
店内の巨大な水槽で泳ぐ魚やカニ、牛乳や野菜についているコードを
自分のスマホで読み取ると、商品の産地を確認や栄養素を確認する事ができ、
水槽で泳ぐ魚を購入し調理カウンターで調理法や味付けを指定すると、
常駐の調理師が調理してくれ、鮮度の高い魚をその場で味わう事ができます。
また、「盒馬鮮生」から3キロ圏内であれば
午前8時から午後9字の間に注文すれば30分以内で配達してくれるため、
店舗から3キロ以内に住居を探す人が増えているほど、
今中国で人気のお店です。
5. デジタル技術を活用した新しいマーケティング手法が主流に
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今回は「O2O」と「OMO」の違い、
そして「OMO」の成功事例についてご紹介しました。
ユーザーをオンラインからオフラインへ誘導し購買意欲を促す「O2O」から
オンライン・オフラインを融合し、消費者のニーズにあった
より良いユーザー体験の提供をする事で、ビジネス展開を図る「OMO」。
ただ物を売れば良いという訳でなく、
継続してサービスや商品購入をしてくれる “ ファン “ を増やす事が
これから先ポイントになりそうですね。